MBA留学はグローバルキャリアの形成にものすごく役に立つ!英会話が苦手な人にほどチャレンジしてほしい

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わたしは、MBA留学をしたことで、日本政府系機関での国際協力→ロンドンのユニコーン1フィンテックという、業種・職種・企業形態・ロケーションと全ての要素が異なる無謀な転職を実現しました。

この記事では、MBAを取ろうと思った理由、MBAがどのように転職に効いたかを書いていきたいと思います。

その前に

MBA留学は意味がない?あらかじめ明確な目的を持っていることが重要

MBA留学なんて意味ないって聞くこともあると思いますが、それは自分次第だとわたしは思います。個人的には、MBAの経験がマイナスに働くなんていうことは絶対にないと思っています。

意味がないと感じるのは、思い描いていた理想と現実が異なるから、つまり、こういうことができるようになる・身につくと思っていたゴールに対して、MBAでの経験が異なっていたから。もしくは、MBAは転職に有利に働くと思ったけど、期待していたほど評価されなかったから。

MBA留学はとても大きな投資なので、もちろん期待した結果に結びついてほしいですよね。

でも、そのためには「なぜMBA留学」なのかを自分でしっかり明確にしておくことが大事です。

例えば転職を見据えて留学するのだとしたら、なぜ転職のためにMBAが必要なのか、どういう業界・会社に転職したいからMBAが必要なのか、その必要とされるスキルや経験は本当にMBAで得られるものなのか、どこの学校で得られるものなのか(留学か国内か)、留学ならどの国が良いか、MBAで達成したいゴールは何か、それをどう活かすのか、こういった質問に答えられる必要があります。

これらについてしっかり考えたうえで情報収集をしてトライすれば、「行ってみたら自分の能力はそれ以上だったので期待外れでした」というようなことがない限り、意味のない経験にはならないと思います。

特に、目的が具体的であればあるほど、こだわりが強ければ強いほど、しっかりと情報収集しないと期待とずれる可能性が高くなります。反対に、目的が抽象的な場合や汎用性が高い場合は、あらゆる経験が目的達成に貢献する要素になり得るためずれる可能性が低くなります。

「なぜ」「MBA」「留学」なのか、あらかじめ明確な目的を持っていることがとても重要です。

なつのケース:キャリア転換にあたって「ビジネスを体系的に理解するため」「欧米で働く英語力とマインドセットを身につけるため」

ビジネスを体系的に理解するため

参考になるか分かりませんが、わたしの経験について書いてみたいと思います。読み飛ばしていただいても問題ないです。

「世界はビジネスで動いてる。それ知らないわたしって、やばくない?」

国際協力の世界に入って5年目、ずっとやりたかった仕事に就いて、待ちに待った海外駐在も始まって、今振り返っても当時のわたしは楽しく仕事をしていました。

ただ、日に日にパブリックセクターとプライベートセクターそれぞれの限界がクリアになり、当時も盛んに叫ばれていた「民間連携」の重要さ、政府系機関担当者としてのわたしに期待されていることを身に染みて感じるようになりました。(これに就いてはまた別記事で記載します。)

「相手(民間企業)のことを知らずして、本当にwin-winの民間連携なんてできるのだろうか。」という思いは日に日に増していき、相手の環境に身を置かない限り本当に望ましい関係を構築することはできないのではないかと思うようになりました。

民間企業のことを理解するには、何よりも自分が民間企業に勤めるのが一番だ。こうしてわたしはパグリックセクターからプライベートセクターへのキャリア転換を決意します。

しかし、これは180度の方向転換なので非常にハードルが高く感じました。そこで、いきなり民間企業に行くのではなく、まずはMBAでビジネス全般についての知識を身につけようと思ったのです。

欧米で働く英語力とマインドセットを身につけるため

また、将来欧米で働くための英語力とマインドセットを身につけるという目的もありました。

当時のわたしは、海外駐在をしていながら英語力はビジネス会話には程遠く、プレゼンなんてあろうものなら前日は練習と緊張で眠れなくなるようなレベルでした。

また、それまでの海外生活の中で、自己主張ができず後でくよくよと落ち込んだり、周りの外国人の自信に満ち溢れた態度に圧倒されて萎縮してしまったり、数えきれないほど悔しい思いをしていました。

海外では、自分の意見をはっきりと主張する「Assertive」さが求められます。日本では「空気を読む・行間を読む」という言葉にもあるように曖昧な受け答えでも通じるところがあると思いますが、わたしは発言するときは何かしら枕詞をつけたり、反対意見はことさら相手に気を遣いまくった発言をしたりして、「結局何が言いたいんだっけ?」状態に陥ることがよくありました。時には、その根底に「自己肯定感の低さ」があるのではないかとも思うほど、自信がなくなってしまうこともあったんです。

それでも、「海外でも活躍できるようになる」というのは学生の頃からの夢でした。それに加えて日本経済も落ち込み、企業も個人も何かしらの形で日本の外に出て行くことが必須と感じられる現代社会において将来ずっと日本にいることに危機感を覚え始めました。

そこで、わたしは、どうにかして欧米でも自分らしく働ける英語力とマインドセットを身につけたいと思うようになったんです。

「英会話は苦手だけどグローバルに働きたい」という人にMBA留学をおすすめしたい3つの理由

基本的にはわたしの経験に基づく内容なので、前提を記載しておきます。

  • イギリス国立大学のビジネススクール
  • 1年間のプログラムで、少人数制(開始前に別途3ヶ月間の英語強化コースに参加しました)
  • 学問的な内容と実践的な内容が50:50くらいのバランス
  • プログラムの特徴:他国ビジネススクールでの授業機会(スペイン、オランダ)、グループワーク中心の講義、実在する英大手企業との疑似取締役会、外国語授業、専門性に特化した選択制のコースあり(コンサルティング・テクノロジー・起業の3コース)

とりあえず話さないと話にならない

本当に、話さないと何もできないです。ただそこに存在しているだけ。わたしにとってはこれが一番つらかった。

例えば授業中。手を挙げてから発言させる教授もいますが、ほとんどはディスカッション形式で自由に発言できます。そのため、自分から思い切って発言しなければ存在感はまるでなし。Contribution to a classといって、どのくらい授業に貢献したかも成績に考慮されます。ということは、発言していなければ貢献点はゼロです。

それもあって、とりあえず話さないと話になりません。最初のステップは、まず声を上げることです。よくSpeak outと言いますが、とりあえず思っていることを発言することが重要です。

なぜSpeak outできないかを考えて、わたしは次の2点を意識することにしました。

  1. 「合っているか間違っているか」を気にするのはやめる
  2. 「建設的に話を積み上げていく」ことを意識するのをやめる

一つ目はわかりやすいと思います。わたしは間違いを恐れて、不安があると発言できなくなってしまっていたからです。

二つ目は、他の人が意見を共有したとき、自分の考えが同じでもとりあえず発言するということです。それまでは、誰かが1を言ったら、2になるように話を積み上げていかないといけないと思っていました。それは、効率的に議論を進めるうえでは重要だと思います。

ただ、それを意識していると、2を考えている間に議論が進んでしまうんです。さらに、他のクラスメートは必ずしも積み上げているのではなく、一つのお題に対してそれぞれが思うことをフラットに発言していました。それは、誰かが1を言っても、自分は1+を言ってもいいし、1-でもいいし、なんなら0に戻ってもいいということです。

なぜSpeak outがこれほど難しかったのでしょうか。同じ悩みを抱えた留学中の友人も多かったので、これは個人の性格だけでなく、日本の教育に根ざしていると思います。

個人的な印象では、欧米とインドからのクラスメートは思ったことをどんどん言葉にしていって、発言した数名+先生の中で議論を進めていき、その他アジア勢(日本、中国、台湾、タイ)はほぼ全員あれよあれよという間に授業が次の議題に移っていくのをあっけに取られて見ている、もしくは議論に入ろうとチャンスを伺うのだけれど割って入れずもどかしい思いをしているという感じでした。

日本の学校では、挙手をしてから発言するのがデフォルトだと思います。そして、誰か話していない人がいれば先生が気を遣って「話すチャンス」をくれました。さらに、「人が話している間は割り込まない」と教えられて育ちました。

このSpeak out問題は、グループワークで死活問題に発展します。

MBAでは教授→生徒というOne-wayな時間は限られていて、ほとんどが5〜6名のグループに分かれて議論・プレゼンをするという形です。エッセイの宿題もグループごとだったので、2日後の提出期限に間に合わせるためには、構成を考えたら必然的に章ごとに分担します。そうすると、自分の役割も責任もものすごくクリアです。

グループのクラスメート(それがネイティブであっても)と議論をしっかりして内容のすり合わせをしないと、何をしたら良いのかが分からなくなり自分の役割を果たすことはできません。プレゼンもポイントを端的に話せるようにしておかないと、時間内に収まりません。

スピーキングが苦手だったわたしは、こうして必死になりました。それまでも苦手意識はあって、どうにかしたいと思っていました。でも、何をやったらいいか分からないし、話すことへの恐怖感のようなものは拭えませんでした。

MBAでは、「話さないと話にならない」環境があったため、半ば強制的にスピーキングを強化することになりました。そして、この環境があったからこそわたしの英語は上達したので、ぜひ英語に苦手意識がある人にこそチャレンジしてほしいと思っています。

ちなみにわたしは、意見はあるのに話せない自分が本当に悔しくて何度も泣きました。それでも乗り越えられます。思い切りと一種の開き直りが大切。

議論とプレゼンスキルが鍛えられる

上でも少し触れましたが、Speak outできるようになったら、自然と議論に発展します。

クラスメートとの議論、先生との議論、いろいろですが、とにかく皆自分の意見を持っています。そのため、質問はもちろん、反対意見もたくさん出てきます。

でも、そこでひるんではいけません。わたしは、反対意見をスパッと言われたとき、最初はドキッとしました。が、それってもちろん個人的な攻撃ではなくて、健全な議論なんです。みんな個々の意見を持っているのが当然、みんなそれを表現していいんです。だから、わたしの意見について違う意見が出てくるのは当たり前なんですよね。

この経験によって、わたしは異なる意見をすんなり受け入れられるようになりました。自分が反対意見を持っているとき、それを主張するのはまだ苦手です(苦笑)。

日本の議論はどちらかというと同意がちだと思うので、Assertiveさを身につけて、世界で通用するプロフェッショナルになりたいと思っています。このマインドセットの転換も含めて、MBAは議論の力を鍛える経験になりました。

そして、プレゼン。これはもう言わずもがなですが、プレゼンの機会がものすごく多いです。グループでのプレゼン、個人のプレゼン、両方あります。

授業の一環で、元BBCのキャスターの方がゲストでいらっしゃり、効果的なプレゼン方法(目線、話し方、ボディランゲージ、服装など)を教えてくださいました。オーディエンスを惹き込むにはどうしたら良いか、ただスクリーンの横に突っ立ってポインターを使うのではなく、しっかり前に出てときには歩いてオーディエンスとの距離を縮め、適度に両手を使いながら…など、さまざまなスキルを学びました。

こういったスキルを自分のものにするには練習が重要ですが、MBAでは練習の機会もたくさんあります。実際の会議で実践する前に、各業界のプロフェッショナルでもあるクラスメートから率直なフィードバックをもらって練習することができるんです。しかも、英語で。こんな機会、MBA以外ではなかなかないと思います。わたしはこのプレゼンスキルを前職で実践して、世界中の誰もが知る大手メーカーの役員から高い評価をいただきました。

業界が変わっても自分の強みとして活きる、必須のビジネススキルを身につけることができます。

あと、補足的にですが、本当に読み・書きの量が多いです。

まず、1年間のプログラムでかなりカリキュラムが詰め詰めだったので、予習・復習が大前提で授業が進みました。読み・書きは常にセットなので、読んだレポートと自分の意見を組み立ててエッセイとして提出するのですが、最初は課題の文献を読むのに何時間もかかって、寝ずに明け方まで読んでも終わらないこともありました。

そうすると、読みに追われてエッセイが書けません。そして、予習に追われて復習ができません。復習ができないと講義でフォローされた部分とそれ以前の知識が結びつかずうまく記憶に定着しません。そして期末課題(大体は個別のエッセイでした)の段階で一気に見直すという最悪の事態が発生します。

でも、このつらい最初の数ヶ月を乗り切ればしっかり力はついてきます。「読み」では、回数をこなすにつれて段々とスキミングやスキャニングのスキルが身について、効率的に作業が進むようになりました。「書き」では、長文を短時間で書くことが苦でなくなり、同じワードの繰り返し、前置詞や単数・複数形のミスが激減しました。※ただ、アカデミックなエッセイレポートとビジネスのプレゼン資料とでは内容・書き方が異なるため、働き始めて再度壁にぶち当たりました。

いずれにしても、読み・書きの能力は、グローバルキャリアをつくっていくために必須のスキルです。わたしは、この苦しかった経験が、今契約書やマーケットレポートをさくっと読んでプレゼン資料にまとめるといった作業に活きていると実感しています。

寝れない日々が続きますが、definitely worth itです。

失敗を恐れないメンタリティが身につき、自分に自信が持てるようになる

『話さないと話にならない』でも出てきましたが、「失敗や間違いが怖い」という気持ちがある限り英語は上達しないと痛感しました。

でも、英語を母国語として育っていない私たちにとって、英語は第二言語です。だから間違えて当然なんです。そして、間違えて正してを繰り返すからこそ上達するんだと本当に思います。分かっていても、これがわたしには難しかったんですよね〜。

どのようにして乗り越えたか。

まず、「意見を言う」ことだけに集中したら間違いを気にしている余裕は無くなりました。そしてその結果、どんどん言葉が出てくるようになって、会話が成立するようになって、話すことへの緊張が解けたタイミングで、自分の間違いに気付いたり、文章の構成を考えて話す余裕ができはじました。

わたしはこのくらいの時期から、日本語→英語への変換ではなく、初めから英語で物事を考えられるようになってきました。

そうすると英語を話すことへの抵抗がなくなり、日に日に自信がついていきました。友人からも「英語上達したよ!」と言うコメントをもらうことが多くなりました。

この「失敗を恐れないマインドセット」と「自信」は、ロンドンで転職活動をした際の面接でもとても役に立ちました。MBA前のわたしにとって、どんな質問が飛んでくるかも分からない英語の面接は緊張と恐怖以外の何でもありませんでしたが、台本のない会話も議論も大丈夫という自信がついたんです。

ビジネススクールに関する情報収集と英語力の確認から始めよう

「よし、やってみよう」という気持ちになったけど、どこから始めて良いか分からない!という方は、ぜひビジネススクールに関する情報収集と、今の英語力の確認から始めてみましょう!

ビジネススクールによって得意分野が違う

例えば大学を選ぶとき、いくつもある選択肢の中から自分に合った大学を選んで受験しますよね。

それと同じで、MBAも学校によって特色があります。例えば、起業家向け、企業とのプロジェクトが豊富、グループワークが多い、アカデミック要素が強い、リーダー層向け(Executive MBAもありますよね)などなど。

加えて、どこの国で学ぶかも重要です。例えばヨーロッパは1年〜1年半のプログラムが多く、アメリカでは基本的に2年です。ヨーロッパでは、仮にスペインの学校にした場合、日常会話レベルのスペイン語を身につけることもできると思います。

国によって生活費もかなり違います。ロンドンなどの大都市では必然的に高くなりますし、郊外であれば少し抑えられるかもしれません。費用はトータルで考えておかないと、途中でものすごく生活が苦しくなります。たまにアルバイトやインターンで生活費をまかなう学生もいますが、イギリスのMBAでは基本的にその時間はないと思っていた方がいいと思います(友人談も踏まえての意見です)。※アメリカだと少し事情が違うようです。

また、その学校の卒業生がどんな仕事に就いて、どのくらいの給与を得ているかも参考情報になりますよね。

このように学校によって色々と違ってくるので、できる限りの情報収集をしましょう。ただ、思いつく学校から調べていくのは時間がかかるので、最初はランキングサイトを参考にするのがおすすめです。以下に代表的なウェブサイトのリンクを貼っておくので、見てみてください。

ランキングサイトによってフォーカスが異なるので(教育の質、Value for Money, Salary after graduationなど)、その辺りも参考になります。

ある程度全体像が見えてきたら、留学支援エージェントや、LinkedInを活用して卒業生に話を聞いてみる(LinkedInの活用については別記事も書きます)といった行動に繋げていきましょう。

今の英語力が分かれば、合格に向けて勉強の計画が立てられる

ビジネススクールの願書として、一般的に以下の書類を揃えることになります。

もちろん、上記すべて英語です。そのため、英語の勉強は必須ですし、早く始めるに越したことはありません。

そう思うと少し恐怖感が出てくるかもしれませんが、今の実力が分かればあとは合格レベルとのギャップを埋めるだけです!それだけで目標が明確になり、未知の恐怖ではなくなるので、ぜひ一度テスト受けて今の実力を測ってみることをおすすめします。

また、これはあくまでも学校によりますが、英語が合格レベルに達していない場合も「条件付き合格」が出ることがあります。条件としては、指定のPre-sessional course(英語準備コース)を受けて試験に合格すること、入学までに合格レベルに達することなどがあります。

ちなみにわたしはこの条件付き合格で、プログラムの開始前にビジネススクールで3ヶ月間のPre-sessionalに参加しました。

今の実力が分かれば、合格に向けて勉強の計画が立てられます。ぜひトライしてみましょう!

注釈

  1. 企業価値評価額が10億ドル以上、かつ創業してから10年以内で、未上場のベンチャー企業やスタートアップ企業 ↩︎
  2. イギリス留学ではVISA申請にIELTS for UKVIが求められるため、受験は必須です。知る限りほぼ全ての学校でTOEFLと同等に認められますので、イギリス留学の際はこちらの受験をお勧めします。※情報は常に更新されますので、最新情報を必ずご自身でご確認ください。 ↩︎